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NO. 1 0 0 卓袱台(ちゃぶだい) と 黒電話とテレビジョン

吾輩は 猫である。名前はまだ無い。

我が家には、夫婦と子供が二人。 ご飯時には まあるい「卓袱台(ちゃぶだい)」なるものが 水屋(食器棚)と 壁の隙間に押し込められるように収納されていて、コロコロ転がしながら 引出し、折りたたんである脚をだして 、六畳ほどのほぼ真ん中に据える。そしておかみさんがバランスを考えた 心づくしのおかずが運ばれてくる。 吾輩の夕食はここの住人が食べ終わってから、残ったものなどが回ってくる、栄養満点だが、吾輩には少々辛い。高血圧が心配だ。食事がいただけるまでは、「卓袱台」の横に 両手をそろえて しっぽを右前方にまわして、一応 行儀のよいところをアピールしながら待っている。

「卓袱台」は、円卓であるので「上座」「下座」の 区別はないようだったが「テレビ様」が来てからは 真正面が「卓袱台」の「上座」になり、もちろん 我が家の主人が座り

チャンネルを選ぶ権利ももちろん 主人が持っている。

六畳という広さであるので「卓袱台」の前に座りながら 手を伸ばせば「黒電話」に容易に手が届く。こいつは 吾輩と同様 全身真っ黒だ。かけるときは 正面の丸い穴に指を入れ、円を描く如く回すのであるが、ジーコ ジーコと不思議な音を発し、かかってきたときは、非常時の警告音の如く、けたたましきベルの鳴る音が吾輩の耳につきささり、 我が家の主のかんしゃくを起こした時の声よりも大きく、窓ガラスを びりびり ひびかせている。

「テレビ様」と黒電話には 共通点がある。それは「布」だ。「テレビ様」には ゴブラン織り風の りっぱな布が掛けられ、黒電話は、受話器には レースのついた布が巻かれ、本体にも レースのついた ちゃんちゃんこのような服が着せられ、おざぶ(座布団)を敷き、さらに 全体を これまたレースの付いた 豪華な布でおおっているのである。 

  言っておくが、吾輩には 何の布きれも着せてもらってはいない。

== 第一章 その一 終。

  続きは 気が向いたとき・・・===

== 写真 二枚 ==

卓袱台(S.39ごろまで使用)

黒電話(S. 60ごろまで使用)


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