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NO. 1 5 8  戦友

先日「 Fury ふゅーりー」という 戦争映画をTVで観た。 ブラッド・ピット  シャイア・ラブーフ  ローガン・ラーマン 2014 アメリカ。( 第二次 世界大戦 ) 

戦争はいやだ。人を殺すんだぞ。 殺( や )らなければ 殺られるんだぞ。 沢山殺れば 英雄だ。階級も上がり 給料もあがる。 相手に何の恨みもない。相手の後ろには 両親や 兄弟姉妹 友人がいるんだ。何と悲しいことか。 狂人地獄の舞台劇。 自分ならどうする・・・・

「 戦友 」 詞・ 真下 飛泉 ( ましも ひせん )

曲・ 三善 和気  みよし かずおき )

      日露戦争さ中 明治38年

 1.   私は 歩兵として 船で満州へ向かった。 日本から何百里離れているんだろう。真っ赤な夕日が沈もうとしている

この満州の冷たい大地に 友の亡骸( なきがら ) は眠っている 。その上には ただの石ころが 積まれているだけだ。

2.    ほん昨日まで 勇猛果敢に 突進していたその友が

今日は ただの石ころの下にいる。

3.    戦いの激しい中、いつも隣にいたんだよ、その友が。 突然バッタリ倒れたんだ。 思わず駆け寄った。

4.    軍の規律がますます厳しくなてきた昨今だが、ともを見捨てておけるはずがないじゃないか。すぐに近寄って 抱き起し「 しかりしろ!」と 言いつつも 弾傷にサルファ剤をふりかけ 包帯を巻きつける。 おりしも 頭の上には ひゅんひゆんと弾丸 ( たま ) が飛び交ってる下でだ。

5.    そうしてる内にも 非情な突進のラッパが鳴る。友は ようやく顔を上げて「 お国の為だ おれにかまうな 行け!」と 涙ながらにつぶやく。

6.   私は「 それじゃ 行くよ 」と 心をここに残し 進軍したのが ついに 最後の別れとなってしまった。

7.   戦いが終わって 満州の真っ赤な夕日が沈もうとしている時、友を捜しに戻った。「 どうか生きていてくれよ 」と 声にだしながら。 しかし 願いはむなしく消え去った。

8.   ぽっかり空いた心の穴を 引きずりながら 祖国日本へ引き上げる時 友の時計が ポケットの中で コチコチと淋しく動いているのが なんとも辛い。

9.   思い返せば 去年船出して 祖国日本が見えなくなった頃 甲板で その友と意気投合して 互いに名乗り合ったのが 始まりだったなあ。

10.  そのあとは たばこも 二人で分けて吸い、家族から来た手紙も見せ合って 身の上話を何度も繰り返したもんだ。

11.  どうせ命は お国にささげたもの、生きて帰れるとは 思ってはいないが、どちらかが生き残ったら「 骨を 頼むぞ 」と言い交していたんだが、

12.  思いもよらず 私が生き残って この真っ赤に沈む夕日の満州で 友の墓穴掘ろうとは・・・。

13.  よく晴れた今宵の月の下 つくえの横に友の遺品の時計を置いて、しみじみ思い起こしながら 友の最後を まっすぐに書き記したこの手紙 親御( おやご )さんへ送ろう。

14.  なかなか文章がうまく書けないが この手紙を行燈( あんどん ) のほのかな灯りで読まれるご両親の心を思うと 私の心がきしきしと痛み、思わず ひとしずく 落としてしまった。

明治38年 9月 5日 日露戦争 終わる。

* 日露戦争を 書いた小説に「 坂の上の雲 」 司馬 遼太郎 著

  がある。

=== 写真 2枚 ===

* 「 アミラーリ 」 東郷 平八郎ビール フィンランド製 

  ( 右のビン )

* 「 赤い夕陽のなかを ひたすら歩く 」( 第二次 世界大

   戦 ) ちば てつや 画 2017


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